【講話】修了式 校長講話
2025-03-24校長先生から
今日は修了式です。今年度を振り返ると、皆さんはどんな一年だったでしょうか。私は、今年度の皆さんを見ていて、学習活動、学校行事、部活動ともに「やるときはやる」という姿を見ることができたと思っています。結果にこだわりながらも、プロセスを大切にした1年でもありました。見えないところで努力してきたこと、数値などでは測れない、例えば、自発的に行動することや地道に継続することは、真の実力を形成するための土台となるものです。皆さんには、そのような力が確実に備わってきていると思っています。今後も自分の可能性を信じて、地道に努力されることを願っています。
今日はまず、卒業した3年生の受験結果と傾向について触れたいと思います。国公立大学に限定した話になってしまいますが、今年は、一般入試での成果が大きく伸びた年になっています。また、昨年に比べ、学校推薦型のうち公募制によるもの、総合型選抜を利用した受験が増えたと感じています。中には、北大のフロンティア入試など、難関大学への合格者もでて、現段階で80名を超えてきています。
この話をする理由は、近年、一般入試以上に、この選抜方式による割合が、年々増えており、今後、受験準備をしていく皆さんに、自分事として、しっかりと理解してもらいたいからです。
推薦といっても、公募制は、そう簡単なものではありません。しかし、皆さん自身に、アピールできるもの、そして、その大学で学びたいという強い志があるのなら、挑戦する価値は十分にあります。例えば、皆さんは、探究活動に取り組んでいますが、その成果を活かしてもいいでしょう。あるいは、部活動で、仮に成果が伴わなくとも、3年間の活動で学び得たものが、将来に活かせると確信できるものがあるなら、それをアピールしてもいいと思います。
これに関わる話として、皆さんが取り組んでいる探究活動は、ご承知の通り、実社会の中から課題を見つけ、情報を整理・分析して、最後に表現するという、大変高度な学習活動です。そして、この活動には、他の教科・科目で学んだ知識や技術を、実際に活用しなければなりません。ですから、全ての授業に対する理解が、より大切になっています。
また、皆さんの学びは、知識どうしを繋げて考察するだけではなく、部活動をはじめとする諸活動での経験や体験とも結び付けながら、自分なりの考えを持つことも大切です。このことから、皆さんが取り組んでいる全てのことがらに対して、もう一段階、意識と行動をアップさせてもらいたいと願っています。
さて、明日から春休みですが、皆さんに、もう一つ、お話しをいたします。
先日、曽野綾子さんという小説家がお亡くなりになったことが報じられていました。曽野さんは戦争など社会的事象ついて、深く考察した作品を残された方でした。今回、私は、6年前に、曽野さんに関する記事を読んだことを思い出しました。
曽野さんは、世界各地を訪れて、改めて日本人を見た時に「幼児化している」と思ったそうです。なぜかというと、今の日本は、いじめ問題やモラルの低下が、他国と比べても、あまりにも目立っており、言い換えるなら、「日本人の思考の退化」であり、また、平たく言うと「大人になり切れていない」というのです。日本人の幸福度が極めて低いことは、国連をはじめ様々な研究機関での指標で発表されていますが、「大人になり切れていない」ことが、その理由の一つであると指摘されていました。
曽野さんは、幸福に生きるためには、「自分のことは人任せにはせず、責任を持つこと。その上で、他者に対して何かを与えられるようにしたい」と思うことが大切で、この行動ができる人が、精神的に成熟した大人であると述べられていました。
私は、なるほどと思いました。人は、知らず知らずのうちに自分のことはさておき、他者に対して不満を持ったり、「~してくれない」と思うことが、実際にあると感じます。長い人生を生きていく中で、私たちには、成熟した大人になるということを、一つの目標にしなければならないと思います。皆さんには、自分の目標を達成していくためにも、現時点で、どの程度、大人としての意識が持てているのか、どこかで一度考えてみてください。4月からの皆さんの更なる人間的成長を期待して、今日の話を終わります。