【卒業式】校長式辞
2026-03-01校長先生から
厳しい寒さと大雪に閉ざされた冬も、光に押し出されるようにして、確実に次の季節へと歩みを進めています。
本日ここに、北海学園理事長 安酸敏眞先生をはじめとする学園関係者の皆さま、そして多数の保護者・ご家族の皆さまのご臨席を賜り、北海高等学校 第78回卒業証書授与式を挙行できますことは、私たち教職員にとりまして何よりの喜びであります。
改めて、第78期生 380名の皆さん、卒業おめでとう。
北海高校での三年間を修め、今日という日を迎えた皆さん一人ひとりに、心からの祝意を表します。
さて、卒業生の皆さんはいま、どのような思いでこの式に臨んでいるでしょうか。楽しかったこと、思うようにいかなかったこと、達成感もそして悔しさも。そのすべてを抱え皆さんはこれから始まる「次のステージ」へ飛び立とうとしています。
人は未知の事柄に直面すると、どうしても不安を抱えがちになるものです。少子化、世界でおこる分断、先行きが見えない経済。現代社会が抱える課題を目の当たりにすると、未来は「一寸先は闇」であるかのように思えるかもしれません。
しかし、私は皆さんに、あえてこう伝えたい。「一寸先は、光である」と。
確かに皆さんがこれから生きていく社会は、変化が激しく、正解が一つではない時代です。価値観も仕事の形も生き方そのものも大きく揺れ動いていくでしょう。けれども変革の時代というのは、同時に「新たな可能性」が生まれる時代でもあります。不確かさの中にこそ挑戦の余地があり成長のチャンスが隠れています。
詩人・高村光太郎は、その詩
道程
の中で、「僕の前に道はない、僕の後ろに道は出来る」と詠いました。また、皆さんの大先輩である直木賞作家・和田芳恵さんは、かつて母校で学ぶ後輩にむけ「歩いたところから道になる」という書を遺しています。
これらの言葉が教えてくれるのは、「道は最初から用意されているものではない」ということです。誰かが示した正解をなぞるのではなく、皆さんが勇気を持って踏み出したその一歩一歩が、振り返ったときに初めて「道」となるのです。人生は「道」であり、同時に終わりのない「旅」のようなものです。しかし、その「旅」には決まったルートはありません。現代では、スマホの地図アプリがあれば道に迷うことはありませんが、人生においては「迷わない」ということが必ずしも正解だとは私は思いません。
迷い、悩み、考え、自分で選び取った経験こそが、将来、皆さんの中にある「自分だけの地図」になります。生きるということは、本来、アドリブの連続なのです。
皆さんは、この北海高校での三年間で、その「歩み続ける力」を身につけてきました。勉強はもちろん、学校行事、部活動、友人関係。そして、創立140周年という節目の年に、最高学年として学校づくりの一員となり、甲子園やサッカー選手権、デフリンピックでの金メダル、また、一人ひとりの進路の実現に対しても互いに切磋琢磨し、応援し、支え合いながら北海高校に確かな輝きを刻んでくれました。この事実を、どうか一生の誇りとして、心に留めておいてください。今日で皆さんは卒業しますが、迷ったとき、立ち止まりたくなったときは、いつでもこの母校、皆さんの「母なる港」を思い出してください。それぞれの場所で、それぞれの道を歩みながら「自分は北海生だ」と胸を張って言える生き方を、これからも続けていってほしいと願っています。
ここで、保護者・ご家族の皆さまに、改めて申し上げます。今日まで、お子さまの歩みを信じ、時に見守り、時に背中を押し、私たちと共に育んでいただいたことに、学校を代表して心より敬意と感謝を申し上げます。立派に成長されたお子さまの門出を、共にお祝いできることを、私たち教職員も誇りに感じております。
結びになりますが、卒業生の皆さんの歩む道が、光に満ちた素晴らしい旅となることを、そして皆さんの前途に幸多からんことを心から祈念し、以上、式辞といたします。
令和八年三月一日 北海高等学校 校長 秋山秀司












